権利移転

権利移転の登録申請

権利(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)移転(譲渡、相続など)が生じた場合、移転登録申請が必要です。

権利が何か(特許権か、商標権か)に応じて費用(印紙代)が異なりますのでご注意下さい。


権利移転が生じる原因は、相続その他の一般承継譲渡その他の特定承継に分けることができます。

(1-1)一般承継の場合

(1-1-1)合併による移転登録申請

(1-1-2)相続による移転登録申請

(1-1-3)会社分割による移転登録申請

(1-2)特定承継の場合

(1-2-1)投資事業有限責任組合員の地位の承継に伴う移転の場合


(1-1)一般承継の場合


  
相続による
移転登録
自然人の死亡により権利を承継した相続人が行う場合被相続人の死亡の事実を証明する書面、相続人であることを証明する書面として、戸籍謄本等が必要です。
相続による
持分移転登録
権利が共有であって、その一方の登録名義人である自然人の死亡により権利の持分を承継した相続人が行う場合
合併による
移転登録
登録名義人である法人が、合併により解散した場合に、その承継法人が行う場合合併の事実を証明する書面として、合併の事実の記載のある登記簿又は閉鎖登記簿の謄本等が必要です。
合併による
持分移転登録
権利が共有であって、その一方の登録名義人である法人が合併により解散したことにより、権利の持分を承継した承継人が行う場合
会社分割による
移転登録
登録名義人である法人が、会社分割により営業の全部又は一部が包括的に承継され、その承継法人が行う場合会社分割の事実を証明する書面として、会社分割の事実の記載のある登記簿又は閉鎖登記簿の謄本等が必要です。
会社分割による
持分移転登録
権利が共有であって、その一方の登録名義人である法人が、会社分割により営業の全部又は一部が包括的に承継され、その承継法人が行う場合

(1-1-1)合併による移転登録申請

下記の書面が必要です。

・合併の事実の記載ある承継人の登記事項証明書の原本

または、

・被承継人の閉鎖登記事項証明書の原本

権利を複数の者で共有している場合であっても、他の共有者による同意書は不要です。

詳しくは合併による移転登録申請書(特許庁HP)をご確認ください。


(1-1-2)相続による移転登録申請

下記の書面が必要です。

・法務局が発行した「法定相続情報一覧図」の謄本

または

・戸籍謄本等

権利を複数の者で共有している場合であっても、他の共有者による同意書は不要です。

詳しくは相続による移転登録申請書(特許庁HP)をご確認ください。


(1-1-3)会社分割による移転登録申請

下記の書面が必要です。

・会社分割の事実の記載ある承継人の登記事項証明書の原本

または、

・被承継人の閉鎖登記事項証明書の原本

権利を複数の者で共有している場合であっても、他の共有者による同意書は不要です。

詳しくは会社分割による移転登録申請書(特許庁HP)をご確認ください。


(1-2)特定承継の場合

  必要な書面
譲渡による移転登録権利者が権利の全部を譲渡した場合 売買契約証書又は譲渡証書等
贈与による移転登録 権利者が権利を贈与した場合 贈与証書等
遺贈による移転登録 権利者が遺言によって権利を贈与した場合 遺言書等
判決による移転登録 裁判上の判決(和解、調停を含む)を登録原因とする場合 執行力のある判決書の正本、和解調書、調停調書等
一部譲渡による
一部移転登録
権利者が権利の一部を譲渡した場合 一部譲渡証書等
持分譲渡による
持分移転登録
権利が共有であって、共有者の一部が自己の持分を譲渡した場合 持分譲渡証書、共有者の同意書等
持分の一部譲渡による持分の一部移転登録権利が共有であって、共有者の一部が自己の持分の一部を譲渡した場合持分の一部譲渡証書、共有者の同意書等
持分放棄による
持分移転登録
権利が共有であって、共有者の一部が自己の持分を放棄した場合 持分放棄証書等

登録の原因について第三者の許可等が必要な場合は、許可等がされていることを証明する書面が必要です。

詳しくは移転登録申請書(特許庁HP)をご確認ください。

例えば、

裁判所の許可書
(具体的な書類名は「資産売却許可申立書」、「商標権譲渡許可証明申請書」などです。)

また、以下の書面も必要です。

破産管財人の選任(資格)及び破産管財人の印鑑を証明する書面
(具体的な書類名は「破産管財人選任及び印鑑証明申請書」「破産管財人資格証明及び印鑑証明申請書」などです。)

詳しくは「破産・清算状態にある者の移転申請について」(特許庁HP)をご確認ください。

なお、破産総額が数億円、一方、購入希望の知的財産権(商標権や特許権)の値が数万円~数十万円というように、破産総額に対して知的財産権の値が少額ですと、破産管財人の協力を得ることが容易では無い場合もあります。そのような場合、破産手続きの開始から終了に至るまでの間、知的財産権の譲受人(購入希望者)が積極的に行動する必要があります。


・利益相反行為

会社が取締役に適正価格よりも安値で権利を譲渡することによって、逆に取締役が会社に適正価格よりも高値で権利を譲渡することによって、取締役が会社に損害を与えるような可能性がある場合、利益相反行為に該当します。

利益相反行為に該当する場合、株主総会等の承認が必要です。

例えば、取締役会設置株式会社の場合、以下の書面が必要です。
・取締役会議事録または取締役会承認書
・取締役会開催日以降に認証された、開催時の取締役・監査役全員の記載及び「取締役設置会社」の登記のある登記事項証明書

取引を行う者の株主が完全に同じである場合、利益相反行為には該当しません。
例えば、会社の不利益となる取引行為を行う(代表)取締役が、その会社の1人株主である場合などです。

ただし、上記のような場合、表面的には利益相反行為に見えるため、利益相反行為に該当しないことを証明する書面として以下のような書面の提出が必要です。

・株主名簿の認証日以降に認証された、発行株数の記載のある登記事項証明書
・株主名簿等(株主名簿記載事項は会社法第121条に規定されています。)

詳しくは移転登録申請における利益相反行為について(特許庁HP)をご確認ください。


(1-2-1)投資事業有限責任組合員の地位の承継に伴う権利の移転登録申請

下記の書面が必要です。

a)組合持分譲渡契約書の原本

譲渡人から譲受人へ持分を譲渡する、という内容の契約書。

b)組合持分譲渡承諾書の原本

譲渡人から譲受人への譲渡を無限責任組合員が承諾する、ことを示す承諾書。

c)投資事業有限責任組合契約の契約書の原本

組合員全員の持分が記載されている契約書。


(1-2-2)現物出資により新たな法人を設立する場合の権利の移転登録申請

a)持分引渡証書の原本

出資者全員の署名、押印が必要です。

b)譲受人の履歴事項全部証明書の原本

新たに設立された法人であることを示すもの。


・移転登録申請から登録済み通知まで

移転登録申請書を特許庁に提出してから、移転の事実が特許原簿、商標原簿等に登録されるまでの期間は約2週間です。

原簿に登録された後であれば、原簿を閲覧することにより、移転登録が無事に完了したことを確認することができます。

また、原簿に登録されてから登録済み通知が登録権利者(又はその代理人)に送られてくるまでの期間は約2週間です。

さらに、登録済み通知の数日後に、登録の原因を証明する書面(譲渡証書など)も登録権利者(又はその代理人)に送られてきます。

・移転登録申請から登録済み通知までの期間(まとめ)

移転録申請から 原簿登録まで     約2週間
原簿登録から  登録済み通知まで さらに約2週間
つまり通算すると移転録申請から登録済み通知まで    約4週間

登録申請に必要な費用は以下のとおりです。

 権利の数原因登録免許税(円)弁理士報酬(円)税抜き
特許1一般承継(合併・相続) 3,00028,000
1一般承継以外15,000
実用新案1一般承継(合併・相続) 3,00028,000
1一般承継以外 9,000
意匠1一般承継(合併・相続) 3,00028,000
1一般承継以外 9,000
商標1一般承継(合併・相続) 3,00028,000
1一般承継以外30,000
2件以上の場合は
ご相談ください。

移転登録申請はオンライン(インターネット経由)では行えませんので、弊所から特許庁へ簡易書留等にて申請書類を郵送いたしますが、その際に必要な諸費用を追加でご請求することはありません

ただし、権利が共有であるため当事者の数が多い場合や利益相反行為に該当するため取締役会の承認が必要となる場合などは、弁理士報酬は増額させていただいております。

お見積もりをご希望の方は、EメールまたはFAX:03-6380-1528でご連絡ください。


(2)移転登録申請と更新登録申請との違い

商標権の存続期間の更新登録申請の際に特許庁へ支払う費用は特許印紙で支払います。特許印紙に関しては、予納口座などを利用することができます。

一方、移転登録申請の際に特許庁へ支払う費用は収入印紙で支払います。収入印紙に関しては、予納口座などを利用することができません。

そのため、移転登録申請書に収入印紙を貼って特許庁に提出する必要があります。

表にまとめると以下のようになります。

 移転登録申請更新登録申請
オンライン申請不可可能
予納口座等の利用不可可能
使用する印紙収入印紙特許印紙

(3)移転登録申請、表示変更登録申請について注意すべきこと

『移転登録申請等に関しては、申請手続に不備があった場合、手続は却下されてしまいます。一部に不備があると全体として却下されてしまいます。

出願手続きに関しては、不備を補うために手続補正という手段が認められており、不足書類を後から追加したりすることが可能です。

しかし、移転登録申請等に関しては、不足書類を後から追加したりすることはできません。

不足書類又は不備がある書類が一つでもあると、申請書類が全て返却されます。そして、全ての書類を再度提出しなければなりません。

不足書類を追加したり、不備がある書類だけを差し替えたりすることが可能だと助かるのですが。。。』と以前書いておりました。

しかし、平成28年4月1日受付の登録申請書から補正が認められるようになりました。詳細は特許庁Web site(2.移転登録申請等の全般的な手続に関するQ&A No.7 問 登録申請書に不備があるとき、どうなりますか。)をご確認ください。


参考情報:

登録に関する手続

産業財産権 登録の実務 〜設定・年⾦・減免措置/移転⼿続の留意点〜 平成30年度 特許庁

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